失われた10年を作ってきた奴らは断罪されていない

私の周りを見ても、40代後半で異常なほど仕事ができない奴らがいる。
彼らは汗水たらして動くと言う考えがない、たいした役職についていないのに全部年下にやらせようとするし、それが当然だと思っている。そしてとんでもなく仕事を教えることが下手だ。

この年代はバブルを謳歌した世代。団塊の世代が汗水たらして作り上げた高度経済成長時にたいした実力もないのに大企業に就職して、『5時から男』で遊びまくって、結婚もして、失楽園よろしく不倫もしまくって、マイカーもマイホームも買った。
この年代が新入社員だったころ、高度経済成長期で企業に余裕があったから研修も長いこと受けることが出来た。
人事は人を育てることに時間を費やしたから、新入社員は現場に出るまでの準備を完了することが出来た。
しかし、彼らは「研修が長すぎる」「意味がない」「つまらん」と言う結論をだした。
「学校なんて意味ねえ」なんていいながら、読み書きが出来ていることに何一つありがたみを感じない中坊と同じ論理だ。

バブル崩壊後、この世代は何をしたか。

企業に人を育てる余裕がないからOJT(オン・ジョブ・トレーニング)という大義名分で新入社員をパシリとして現場に連れ出した。そして特に教える気もなかったのだろう、「仕事は教わるものじゃゃなくて、現場で自分で学ぶもの」だなんてことを言い始める。自分はしっかり研修受けてきたのに、後輩を育てようとしなかった。考えてみれば、この世代は同期のライバルがたくさんいて出世競争は激しい。部下を育てるのに時間を費やすより上司にゴマすることに時間を費やした方が自分のためになる。

バブル崩壊後の新卒社員にとってこの状況はきつかった。
受験戦争を勝ち抜き、超氷河期の就職戦線を勝ち抜いた末に得たものは、自分より明らかに能力の劣る人間のかばん持ち。しかも勝手がわからない現場で客先からは嘲笑され、先輩からはキレられる。自信はズタボロにされ、うつになり会社を辞めざるを得ない。
これでは愛社精神なんて感じる理由が一切ない。辞めることに何一つためらいを感じない。

バブル期に正社員になった奴らはどんなにダメでも、窓際族で最低限(むしろ裕福なまでの)生活は出来る。
しかし、この窓際族どもに辞めさせられた人間は派遣として働くしかない。もしくはニートになれればいいが、それすら出来なければホームレスだ。

現在、大企業に切られた派遣が「甘ちゃんばかりだ」と断罪する世論もあるが、それ以前に失われた10年を作ってきた人間を断罪するべきなのではないだろうか。
企業はダメな正社員はガンガン切るべきだ。とくにバブル期に何の苦労もなく大企業に就職した人間は真っ先に切られて当然だと思う。